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メゾン・ブランシュでの休暇を明けて
■ずいぶんむかしのようにもついこの間のようにも思えるが、ネパールへ行ったことがある。そのときにふとした偶然で知り合いになった日本人の友だちから、このあいだの日曜、ひさしぶりにメールが届いた。その旅の途中で出会ったネパール人の男性と入籍したという。彼は現在サンフランシスコで働いていて、彼女は大阪にいるので、

「入籍したといっても生活は何も変わっていないし、これからどうするのかと聞かれると答えられないのですが、流れのままに行けば何とかなると本気で思っています。」

と書かれていた。「本気で思っています」というところがとても彼女らしいと思った。ネパールの旧王宮の前の道を、向こうから、心もとなさそうに「FreeTibet」と書かれた布のカバンをななめがけにした彼女が歩いてきた光景を今でも思い出す。すれ違うときにこちらをちらりと見た。ふり返るとまだこちらを見ていた(理由もあるのだけれど)。それが彼女との出会いだ。うれしくなってすぐに返事を書いた。四月に大阪に帰るのでそのときに会えたらと書いたら、彼女からもすぐに、ぜひという返事が届いた。

■頭から毛布をすっぽりとかぶってせっかくの休日をむだにしてしまうような夜に、こうして不意に届けられるうれしいニュースや、友人がリリース前に少しだけ早くと聴かせてくれた新譜だったりが、底から引き上げてくれることがある。それらは「その日の天使」だと中島らもさんがむかしエッセイに書いていた。天使たちに感謝を込めて。

「心・技・体ともに絶好調の時は、これらの天使は、
 人には見えないようだ。

 逆に、絶望的な気分におちている時には、
 この天使が一日に一人だけさしつかわされていることに、
 よく気づく。

 こんな事がないだろうか。

 暗い気持ちになって、冗談でも"今自殺したら"
 などと考えている時に、
 とんでもない友人から電話がかかってくる。
 あるいは、ふと開いた画集かなにかの一葉によって
 救われるような事が。

 それはその日の天使なのである。」


中島らも『その日の天使』から一部抜粋
03/10 04:40 | 日記 | コメント:4 | トラックバック:0
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